ペン字では縦画はまっすぐが基本ですが…
ペン字では縦画は「まっすぐ」が基本です。ですが、まっすぐ書くということはとても難しいことです。
例えば横画を書いた後、縦画を書く場合。図のAのように縦画が横画に交わった瞬間が直角だったら、もうその縦画はすでに曲がっていることになります。なぜなら横画は少し右上がりになっているためです。右上がりの横画にまっすぐな縦画を書くためには90度以上になっている必要があります。
ただ、古典では縦画は左に傾いていることが多いようです。筒井茂徳先生著『楷書がうまくなる本』では古典の文字をいくつか取り上げて縦画や文字の姿勢が左に傾いていることを説明しています。筒井先生は次のようにおっしゃっています。
「結局、右上がりの横画に縦画を交わらせようとすると、無意識のうちに直交させたいという心理が働く。一般に画と画とが交わり、あるいは接する場合、直交した方が安定し、美しいからである」
この文章を読んだとき、「縦画が傾くことは悪いことではないんだ」と、ホッとしたことを覚えています。ペン字の世界ではまっすぐ書かなければいけない縦画ですが、縦画が少し傾くことが活字とは違う手書きらしさの一面であれば、個人的にはわずかであれば左に傾いていてもいいのかな…と思っています(極端に傾いている場合は「まっすぐ書きましょう」と添削させていただいていますが)。こんなことを師匠に言ったら怒られるかもしれませんね(^_^;)