ペン字仮名


* 創 作 4 *

 4回目の創作作品を書いてみました。
◆題材
 今回は菅原道真の歌です。
 「東風(こち)吹かばにほひおこせよ梅の花あるじなしとて春を忘るな」

【集字】
  集字1

【作品4-1】
今回は印をいつもより上の位置にしてみようと思い、今までの散らし方と変えてみました。
創作1添削

 先生からは下記のコメントをいただきました。
・二行目・・・他の行に比べて字数が多く調和が取れていませんね。
・二行目の「那」・・・「場」に合うように少し変形。
・三行目の「阿」・・・過大。
・四行目の「王」・・・縦線が長すぎ。
・五行目と印・・・印を高い位置に押す事はあります。散布の形によります。ここはもう少し下げた方がよいですね。

 印を上の位置に押すことは自分にはまだ難しいと感じたので、先生のご指摘どおり下げることにしました。  

【作品4-2】二回目に提出したものです。  
創作2添削

<先生からのコメント>
・一行目は長い線の文字が多く、二行目は同じ字粒の字が多い。これらが上手にバランスをとれるとよいですね。
・一行目・・・長い線の後には(可の)点をつけた方が良い。
・二行目・・・字間の粗密と字粒の変化!
・四行目の「八」「流」・・・大小をつける。

一行目と二行目の集字、字粒の変化などが中々うまくいきません。

【作品4-3】三回目に提出したものです。
 今までは二行目の行頭を一番高い位置にしていましたが、三行目の行頭を一番高くする散らし方にしてみました。
 二回目の提出で、一行目は「長い線の文字が多い」二行目は「同じ字粒の字が多い」とのことだったので、「長い線の文字が多くならないように、字粒がそろわないように・・・」と色々な文字を選んでは書いて練習したのですが、良い形にならず、かなり悪戦苦闘しました。結局、漢字(梅)も使って字粒の変化を出す形にしてみましたが・・・。  
創作3添削

<先生からのコメント>
「この構成はよいですね。元永は流れの美しさも特徴です。この点からいうと、後半三行は大変よいですが、二行目は無理に文字を並べただけ…という感じで、縦への流れが少々不足。また、一行目は変体仮名ばかりが並んでこちらも横広の文字ばかりが目立ちます」

 先生は清書一枚見ただけで、私が前半二行に苦戦していることをお見通しなんだ! と驚きました。
 先生がおっしゃる通り、後半三行は自分でもうまく集字できているなと、書いていて思います。でも前半二行をどうすれば良いのか・・・「今回は自分には難しすぎる、作品を完成させるのは無理かも…」とあきらめそうになりましたが、もう一度前半二行の集字をやりなおしてみることにしました。

【集字】
集字1

 今まで、「長い線の文字が多くならないように、字粒がそろわないように・・・」と、見た目の変化だけを意識し過ぎていたことに気づきました。先生の「元永は流れの美しさも特徴」という言葉を読み、「元永を臨書しているときに指先から伝わってくるリズム、心地良さ」が出るように集字してみようと思い、上の集字になりました。

【作品4-4】
  創作4添削

やっと形になりました!
元永の「那」の最後の縦線には特徴があると教えていただきました。また、「を」は右にずらしすぎたようです。

【まとめ】
 ペン字仮名は字粒の変化、字の傾きの変化、字間行間の変化など常に「変化」が必要ですが、この「変化」を出すために、私は今まで視覚でしか考えていないことに気づきました。
 元永本は変体仮名が多用されていますが、数ある変体仮名の中からどのように文字を選んでいるのだろう?と不思議に思っていました。臨書していると、筆者は迷うことなく文字を選び、すらすらと書き進めているように感じるのです。「私は創作で一文字選ぶのにものすごい時間がかかっているのに、筆者の藤原定実は何てすごいんだろう!」といつも感動していました。
 そして実際に臨書していると、指先から運筆のリズム、心地よさが感じられます。おそらく筆者は指先(実際は毛筆で書かれてますから、毛筆の場合は指先ではなく手でしょうか…?)から感じ取るリズムの心地よさも大切にして、文字を選んでいるのではないかと思いました。見た目の視覚に対し、「触覚」に近い感覚かもしれません。
 次回からの創作は、見た目の変化だけでなく、「元永を臨書しているときに指先から伝わってくる心地よい感覚」も取り入れていきたいと思いました。

*今回の創作が形になるまで、自分のペースが遅いせいもあり数カ月もかかってしまいました。山下先生には私の拙い清書を大変丁寧に添削して頂き、本当に感謝しております。どうもありがとうございました。またよろしくお願いいたします。  


―過去の創作―
―過去の臨書―

このページはペン字仮名のページです。ペン字仮名というのは「かな書道」をペンでかいたもの。「ペン字作品」の一番下にあるのがペン字仮名の作品になります。

私がペン字仮名をやりたいと思ったきっかけは、山下静雨先生のかな書道作品に感動したからです。それまで、「かな書道って読めない文字がいっぱいあるけど、何がおもしろいのだろう?文字は読めてこそ意味があると思うけど・・・」と、「かな」にまったく魅力を感じず、やりたいとも思っていませんでした。

ですが7、8年くらい前のペン習字研修センター新年会で山下先生のかな書道作品をいただいてからはその考えが変わりました(以前の新年会では、参加者全員に山下先生のかな書道作品がプレゼントされていました)。

先生からいただいたのは24cm×27cmくらいのサイズの色紙に良寛の詩を書いたもの。部屋にかざるのにちょうど良いサイズなので飾っておいたところ、その作品の前を通るたびに作品が「輝いて見えた」のです。そのころはまだ変体仮名を勉強しておりませんでしたのでまったく読むことができなかったのですが、読めないのに作品全体が輝いて見えました。「なぜ?」と不思議だったのですが、山下先生の作品のすばらしさに少しずつ気付き始めたのだと思います。

その作品をみているうちに、「こんなに美しい作品をペンで書けるようになれたらなあ・・・」とペン字仮名に憧れるようになりました(先生の作品は毛筆でかかれているのになぜか「ペンでやりたい」と思いました)。

先生にお願いしてペン字仮名の指導を受け始め、最初はその独特の字形に驚きながらも楽しく練習をしていました。ですがだんだんと「ペン字仮名ってやっぱり大変。自分の手には負えないかも」と思うように。

例えば実用ペン字では「字間や行間は揃える」「行頭行末は揃える」「字形は左右対称で安定した形に」が原則ですが、ペン字仮名では「字間や行間は揃えないようにする」「行頭行末は揃えない方が良い」「字形は左右非対称で不安定な形にする」ことが求められます。つまり常に「変化」を加えるよう意識しなければなりません。

「実用ペン字のような原則がなく、自由すぎて大変」と思い、最近まで「創作(お手本なしの作品)なんて一生無理」と思っていましたが気がつけばペン字仮名を始めてもう8年くらい。「もうそろそろペン字仮名の創作にも挑戦していかなきゃ!」と思って先生に相談したところ「古典の臨書から始めるとよいです。元永本古今集の文字がスマートです」と教えて頂き元永本の臨書からスタートすることに。

臨書になれてきたら、集字→倣書→創作、と進めていくことが目標です。かなり時間がかかると思いますが何とか創作までたどり着きたいと思っております。先生の許可をいただきましたので臨書を添削していただいたものを随時掲載し、勉強を進めていく予定です。「ペン字仮名の書き手は少ない」と以前先生がおっしゃっていましたので、ご興味のある方がいらっしゃいましたら一緒に勉強していけるとうれしいです(2016.3)。





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